宗教について 〜 人の生と死を考える 注28

公開: 2023年3月12日

更新: 2023年5月14日

注28. 王権神授説

カトリック教会のキリスト教が社会を支配していた15世紀までの、中世のヨーロッパては、神の前に全ての人が平等であることを原則としながらも、王権は、全知全能の神が王へ授けたものであり、人々はその王権を全うさせるように王を支えなければならないと教えました。そのような考え方を、王権は神が与えたと言う意味で、「王権神授説」と呼びます。これは、一神教の枠組みの中で、王権と人々の平等を調和させる理論的な基礎を与えました。

この王権神授説は、中世ヨーロッパの社会では、社会の根幹をなす、重要な思想の一つでした。近世になると、社会は、封建制度から、民主主義に基づく制度へと変わり、王権神授説は否定され、国家と国王の主権は別であると考えるようになりました。国家の主権は、国民の総意に基づかなければならないと、考えられるようになりました。民主主義の誕生です。

王権神授説の起源は、古代ペルシャにあるようです。新バビロニアを滅ぼした古代ペルシャでは、民を支配できる王権は、創造神である「アフラ・マツダ」から授けられると考えられていたようです。それは、ゾロアスター教の思想に基づいた考え方と言えます。

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